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独りアクティブ非モテ系16年目ドクターのにっき。
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山の穴総合病院にも「頭をぶつけた」と救急外来を受診される方がよくいらっしゃいます。
そんな患者さんに対してはまず傷口の有無、押して痛いかを確認したうえで、
脳神経所見を取り、麻痺や感覚障害などがないかを診察したうえで、
さらに頭部CT(脳条件&骨条件)、場合によっては頭部単純レントゲン写真を撮影し、
複数の医師でチェックした上で、特に異常がなかった場合は帰宅となります。

ただし、

頭を打った場合は注意しなければなりません。
受診時に検査でも写真でも全く異常がなかったとしても、
後になって出血が始ったり、新たな症状が出現して治療が必要になる場合があります。
例えば高齢者の慢性硬膜下血腫は1カ月近く前の軽度な外傷が契機となっている場合が多いようです。
はたして今後そんな症状が出現するかどうか、初診時では全く予想もつかないため、
ほとんどの病院では「頭を打った場合の注意点」などと書かれたパンフレットをお渡しし、
これこれこのような症状が現れたらすぐ受診してください、と念を押して帰宅とします。

というわけで、本題はこちら。

都立墨東病院医師2人 書類送検へ

昨年10月、建設会社社長(28)が社員(59)を蹴り死亡させた事件で
被害者を担当した都立墨東病院の医師2人(ともに31歳)が
脳内出血を見落としたとして警視庁は2人を書類送検する方針だ。
被害者は硬膜下出血で死亡している。 

捜査1課などの調べでは、男はS市在住のA容疑者(28)。
10月22日午前4時ごろ、 中央区勝どき6丁目の工事現場で、
作業員Bさん(59)の頭をヘルメットの上から安全靴でけりあげ、死亡させた疑い。
調べや墨東病院によると、Bさんはその夜、自ら通院。
「頭を靴でたたかれ、痛い」と訴え、CTスキャンや エックス線検査を受けた
数日後、皮膚の病気で別の病院に入院した後、容体が急変
29日朝に墨東病院に搬送され、 脳の血腫を取り除く手術を受けたが、31日未明死亡した。
同病院によると、22日の来院時、救急診療科の男性医師2人が診察。
医師らは「血腫はなく特段の問題はない」と判断し、
頭部を打った際の注意を記した紙を渡して帰宅させたという。
同病院は「結果的に亡くなったことは残念。 警察の調査を待ちたい」と話している。 

・・・

書類送検されないためには、
頭をぶつけた患者さんは軽傷重症関わらず全例1カ月以上の入院として、
毎日のようにCT取って経過観察すればいいのでしょうか。
そしたら今度は「検査漬けで放射線被ばくを起こした、医者の責任だ」とかで訴訟を起こされそうでorz。
「脳内出血」と「硬膜下血腫」の使い方についてはノーコメントとします。

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無題
お久しぶりです。ずっと前からブログに見させていただいてます。

医療訴訟、本当に怖いですね。
実際、学校でも先生がよく「訴えられないように」と言いながら授業しています。
最初はふーんと思っていましたが、ニュースで聞くと現実味を帯びてきます。。。
最近は無茶だと言いたくなるような理由でも訴えられますよねι

さるちよ 2008/02/07(Thu)00:28:48 編集
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近畿地方の某市中病院に勤める麻酔科医。気がつけばドクター16年目、WEBでのカキモノは22年目に突入ながら、変わらない非モテ系が、そこにはいる。ズーン。
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