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山の穴総合病院・手術室ではいつも音楽が流れています。
壁の隅に置いてあるちっちゃいCDプレーヤー、
流れてくるのは最新J-POPだったり懐メロだったりクラシックだったり。
だいたいは執刀医の趣味に合わせて手術室の看護師さんが選曲しています。
今日は消化器外科の手術。
徳永英明「VOCALIST」の流れる中、特に問題なく胃全摘も終わり、
閉腹に入ったところでCDが終わってしまいました。
医「お、BGM終わっちゃったね。看護師さーん。」
看「はい。」
医「なんか流しといてくれない?」
看「はいはい(笑)。どんな選曲がいいですか(笑)?」
医「お任せするよ。元気になりそうな曲がいいな。」
看「元気になりそうな曲・・・難しいですね(笑)。わかりました。」
20秒後。
腹膜縫合が終わって執刀医がそろそろ皮下縫合に入ろうとしたそのタイミングで
そ・う・さ、恐れないーでーみーんなのために♪
あ・い・と、勇気だけーがー友達さ♪
・・・
・・・
ズコー(←※全員卒倒)
アンパンマンのマーチが流れる中、全員苦笑いしながら無事手術は終了したのでした。
なんか元気が出てきた気がします。バイバイキーン。
ついに、
9.5%(←※ついに10%の壁突破)
金曜日に一日仕事して、そのまま当直に突入。
結局一睡もできずにほとんど休息も取れずにひたすらに仕事、
翌日午前8時半に当然仕事は終わらず、
正午前まで当直の残務処理が続き、
午後1時過ぎに仮眠しようと寝転がったところ、
いまから緊急手術との連絡を頂き、
午後2時から始まった手術は夜10時にようやく終了。
ICUでのサポートやその他諸々を考えればまたまた40時間連続勤務確定で、
ふと気がつけば今日も30時間くらい何も食べてなかったわけで、
勤務医の待遇改善とかいろいろ言われていますが、
まずは10分でもいいので仕事中に食事を食べる時間が欲しいとおもうはくこうでした。
本日はこのグラウンドを貸し切って院内対抗ソフトボール大会の練習であります。
煌々と光るライトの下、ミニゲームも大変に盛り上がっていたわけですが・・・
ボガッ!!
「きゃっ!!!」
高速ライナーがピッチャー強襲、ピッチャーを務めていた看護師Pさんの左肘を直撃しました。
思わぬ事態に駆け寄るチームメンバー。
A「大丈夫ですか!!?」
P「大丈夫だけど・・・やっぱり痛いー。」
A「大山せんせーい。」
サードの守備に入っていた大山先生(※整形外科)が登場。
大「大丈夫?こうやって、こうやって動くかな?」
P「大丈夫です。」
大「明らかな骨折はなさそうだけど、まずは冷やして安静にして様子を見てみよう。」
するとセンターの守備に入っていた加藤先生(※麻酔科)も登場。
加「痛みは強いのかな?」
P「あ、大丈夫です。我慢できます。」
加「まず向こうの流水で冷やしてくるといいよ。痛みが強いようだったらまた相談してね。」
P「はいー、ありがとうございます。」
そして今回のピッチャー強襲ライナーを放ってしまった不運のバッター藤吉先生(※心療内科)登場。
藤「ごめんよー。大丈夫?」
P「大丈夫ですよ(笑)。気にしないでください。」
藤「今後の心的ストレスのフォローアップは責任をもって引き受けますからね。」
P「あ・・・ありがとうございます。。。」
・・・
大会は2週間後、ちなみに俺はなぜか放射線科チームのメンバーとして出場予定であります。
さて、明日はいよいよ福島県立大野病院事件(※別窓)判決日です。
判決内容次第では明日が日本の医療終焉の日となるかもしれません。
「麻酔科医ハナ」(※別窓)がなかなか面白いです。
スーパードクター(笑)モノではなく、徹底的にふつーの麻酔科医のふつーの実態を題材にしたもの。
「研修医なな子」(※別窓)や「外科医当麻鉄彦・メスよ輝け!」(※別窓)のように、
ドクター側から見てもリアリティーを感じられる数少ないコミックであります。
俺的にはモニター情報のみならず、術前情報や患者さんの身体所見も考慮に入れつつ、
術前も術後も痛くない麻酔を心がけて毎日全身麻酔をかけまくってるわけですが、
なかなか麻酔もおもしろいと思う今日この頃であります。
折からの麻酔科医不足の影響をモロに受けながらも、
幸いにも尊敬しうる麻酔科指導医の元、明日も4件の全身麻酔担当を控えて頑張りモード。
・・・気管内挿管の際に、いかにして左手の力を抜くかは今後の課題であります。
当直明けの夜、廊下を歩いていたところ、突然22-25歳くらいの看護師さん軍団に声をかけられました。
A「あー、はく先生だぁ!」
B「はく先生がいいよ、ねえ、どう?」
C「いいねー。お願いしちゃおうかぁ。」
D「あのー、はく先生。」
若手看護師さん軍団に黄色い声で囲まれてちょっとビビり気味になりつつ、
俺「どうしたの?」
A「あのー、そのですね(笑)。」
B「はく先生のお体を・・・キャー(笑)。」
A「ちょっと、エロいって(笑)。」
C「先生のですね、その、オトコのボディーをですね。あたし達にお貸しいただけないでしょうか。」
D「お願いします!!!」
なにこのフラグ。(←※超勘違い中)
というわけでウキウキしながら指定された時間、指定された場所に行ったわけです。
・・・
院内救急勉強会@大講堂。
俺は「倒れている患者役」として、いろんな方からお触りされまくったのでありました。
そんな当直明け連続40時間勤務後。
7:00 起床。今日もがんばるぞ。朝ごはんは納豆ごはん、(゚Д゚)ウマー。
8:00 病院到着。午前中は外来見学です。
14:00 ようやく昼ご飯タイム。天ぷら蕎麦(゚Д゚)ウマー。
18:00 ようやく外来も終了。今日もなかなかいろんな疾患を勉強できました。
19:00 定例勉強会。今日は心電図です。俺的には得意分野でなかなか楽しみ。
20:10 勉強会終了。やっぱり心電図は面白い。
20:00 麻酔科の藤代先生と飲みに行くことに。医局でしばし待機。
20:20 藤代先生からなかなか連絡がこない。
20:30 医局で待っていたところ、隣の席のハナコ先生が戻ってきました。
俺「お疲れさーん。」
ハ「お疲れー。もう仕事終わったの?」
俺「うん。麻酔科の藤代先生に飲みに誘われてさ。連絡待ち。」
ハ「あれ?藤代先生ならさっき、ケン先生(←※同期)と一緒に血相変えて走って行ったよ。」
俺「ケン先生は・・・そうか、いま麻酔科研修中か。」
ハ「緊急オペでもあるのかな。」
俺「なんかいやな予感が。。。。」
20:40 ケン先生から院内PHSに連絡。
ケ「もしもし、はく君?」
俺「おう、どうした?」
ケ「救急外来にちょっとやばい患者さんが入ってさ。今から緊急手術になるんだ。それでさ。」
俺「うん。」
ケ「ちょっと麻酔手伝ってくれない?藤代先生が準備にかかってるところ。」
俺「OKわかった。すぐに行くわ。」
20:50 手術室到着。
俺「カルテはざっと見たけど・・・ひさびさの超大物やな。。。」
ケ「おう。とりあえずさ、輸液管理と輸液計算頼んでもいい?たぶん輸血も大量に要るはず。」
俺「OK。チェックとカウントは任せて。」
藤「あ、はく先生、今日は飲み会ごめんなー。」
俺「いえいえ、また是非誘ってください。てか、大変なことになりましたね。」
藤「うーん。。。まあ、がんばりましょう。」
看「患者さん入りまーす。」
俺「お、来た来た。」
ケ「さあ、いっちょ、頑張りますか。」
22:00 看「出血、5,500mlです!」
外「血圧は!!?」
藤「動脈圧で70台だけど・・・第2陣の輸血はまだ来ないの!?」
看「院内貯蓄はこれで全てです。いま血液センターに依頼してるんですがまだ返事が・・・。」
藤「・・・新鮮血輸血は?」
看「それもこの時間では1時間以上はかかるとのことで。。。」
俺「血ガスデータ出ました。ヘモグロビン4.5です。。。。」
藤「血液センターからの血液はいつ来るの?連絡は取れないの?」
看「予定では22:30頃には着くとのことですが・・・。」
ケ「はく先生、すまん。いま採血出したから検査室まで持ってってくれない?」
俺「OK。ダッシュするわ。」
22:30 藤「血液はっ!!?」
看「まだ連絡がないんです。。。」
看「出血、10,500mlです。」
俺「先生、ビカーボン終わっちゃいますけど、次はこのルートもアルブミネートにしますか。」
藤「それでいい。ポンピングして。FFPは解凍してるね?」
俺「はい。薬剤部から届いてます。」
医「血圧は?」
ケ「78です。」
看「アルブミネートもこれで全部なんですが・・・。」
俺「薬剤部や病棟にはまだありますよね?」
藤「全部オペ室に持ってこいっ!!!」
看「はいっ(汗)。」
俺「藤代先生、ちょっと俺、玄関まで走ってきます。血液が届いたらオペ室まで届けますわ。」
藤「おう。頼むわ。薬剤部を介さず直接届けてくれ。手続きはあとで何とかするから。」
看「採血結果出ました。ヘモグロビン4.1、血小板15,000です。」
ケ「まじで!!?」
俺「行ってきます!」
22:50 150km離れた稲北市より血液第一陣到着。
深夜の病院内を血液バッグ抱えて走る俺。
22:55 ケ「脈拍30台です!!!」
藤「看護師さん、念のためDC用意して!!!」
ケ「血圧60台です!」
俺「先生、いま稲北からB型(+)20単位届きました!!!」
藤「おおお、サンキュー。どんどん入れましょう。」
看「確認します!番号OKですね。」
俺「チェック大丈夫です。」
藤「3ルートにつないでポンピング、ケン先生、はく先生お願い!」
俺「はい!」
ケ「はい!」
俺「出血、14,800mlです!!!尿量、400ml。」
医「藤代先生、頼みます!!!」
藤「血液、押し込んで!」
俺「はい!」
ケ「はい!」
2:35 なんとか手術終了。患者さんはICUに送られて行きました。
手術台の下の血だまりを看護師さんが掃除にかかっています。
2:50 手術室控室にて。
藤「いやあ、久々に冷や汗だったな。。。2人とも助かったわ。ありがとう。」
ケ「いえいえ。」
俺「いえいえ。」
藤「明日はちょっと予定があるけど、明後日こそ飲みに行きましょう。」
俺「是非是非。」
ケ「店とか探しときますわ。何系がいいですか(笑)?」
ケ「なんかさ、ふつーの安っぽい居酒屋に行こうぜ。脂っぽいものが食べたい(笑)。」
藤「はっはっは。さて、今日は帰って少しでも休みましょう。明日のためにもね。」
4:00 帰宅。最後の最後に大変な一日やった。。。。
そういや昼飯以来14時間くらい何も食べてない気がするけど、もう気にしない。
4:30 ビール1缶飲んでねる。明日は・・・早朝勉強会やった。。。(←※しかもプレゼン担当)
2日目
7:15 しまった、寝坊した!!!朝飯抜きでいっそいで病院に向かう。
7:30 病院到着。血液ガス分析、酸塩基平衡についてマニアックに熱く語ってみる。
今回は古典的アプローチに加えて、スチュワート法をまとめてみました。
8:00 勉強会終了。所属科へ。今日は手術日です。
16:30 ようやく本日の手術終了。腰が痛い、腹減った。。。。気がつけば食事摂ってない。。。。
17:20 患者さんを病棟にあげてようやく一段落・・・したいところですが今日は救急当直です。
17:30 救急当直開始。初っ端から忙しい。飯が食えない。
19:30 救急車3台同時到着。
バイク事故と、老人ホームのお年寄りのSpO2低下と、たぶん過換気。
後ろ2台を任せられる。
20:30 検査結果が全部出そろったので指導医にコンサルト。
その診断でOKとのことで、患者さんやご家族への説明を任される。お年寄りは入院となりました。
21:50 リストカットした女の子の傷を黙々と縫う俺。常連さんです。
23:00 まだまだ救急外来には待合患者さんがいっぱい。飯食う暇なんてねえよのこやろう。
ひたすらに診察、検査、説明が続きます。頑張れ、俺。
3日目
0:10 A「1週間前から歯が痛くて、薬が欲しいんです。」
俺「我慢できないくらい痛みます?」
A「そういうわけじゃないんですけど、病院だと保険が効いて安いかなと思って。」
俺「・・・。」
0:40 B「3週間前からなんか頭痛がするんですが、ちょっとMRIとかいうやつ撮ってもらえませんか?」
俺「MRIですか?」
B「日中だと予約でだいぶ先になるようなので、救急で来ました。」
俺「・・・。」
1:50 看「はく先生、あと10分で救急車です。40台男性、首つりだそうです。」
俺「自殺ですか。」
看「詳細はわかりませんが、まだ脈はあるそうです。」
医「助けなきゃあかんな。」
俺「はい、頑張りましょう。」
2:03 救急車到着。見れば首にはしっかりとヒモの痕。ひえー。。。
患者さんセンターテーブルに移動させ、スタッフが集結し初期治療が始まります。
2:20 A「頚損は?」
B「XpでもCTでも明らかな頚椎損傷は認められませんね。」
C「ご家族は、何としてでも救命してほしいとのことです。」
A「はく先生、挿管できる?頚椎損傷はないからね。普通にやればいい。」
俺「はい。やります。」
2:35 無事に挿管成功。一発で決まってよかった。。。
救命センターではすでにレスピレーターの準備も整い、受け入れを待ち受けています。
3:00 患者さんがICUに上がっていきました。何とか意識が戻ればいいですが。。。
3:05 これにてようやく救急外来の患者さんがゼロに。
ICUをのぞきに行ったところ、看護師さんから呼び止められました。
看「はく先生、サトウさんの鼻出血が止まらないんです。。。」
俺「サトウさんって、たしか持続でヘパリン流してますよね。。。」
看「ええ。」
俺「・・・とりあえず、見てみますわ。」
看「ありがとうございます。」
3:10 喉頭ファイバー使っていろいろ見てみるも、どうも出血点はだいぶ奥のよう。
ボスミンガーゼやら頑張ってみるもなかなか止まらず、耳鼻科の先生に連絡することに。
6:00 耳鼻科の先生と協力してようやく止血。
耳鼻科の先生曰く、「これは最難関の鼻出血だったな」とのこと。
6:30 ようやく仕事が途切れる。てか腹減った。眠い。少しは休めるか。。。。
7:10 突然全館放送が流れる。
「ドクターブルー、ドクターブルー、北病棟5階です。ドクターブルー、ドクターブルー・・・」
・・・まぢで!!!!!!
※「ドクターブルー」・・・院内緊急コール。急変患者が出たので空いてる医者は全員集結せよ。
7:12 北病棟5階到着。
激烈な胸痛後に意識消失した患者さん、すでに10人ほどのドクターが集結、速攻でCT室へ。
7:20 患者さんをCT室に搬送、直後に救急車が2台同時に到着するとのコール。
CT室をいったん離れて救急外来へ。
7:30 交通外傷の男性、熱性痙攣の乳児が同時搬送。
先ほどの胸痛の患者さんと合わせて救急外来が修羅場状態に。
とりあえず俺は交通外傷の患者さんの処置を任される。
8:50 とりあえず自分の仕事は終了。
先ほどの院内急変の患者さんはそのままヘリポートへ上がっていきました。緊急搬送のようです。
9:20 だいぶ伸びましたがなんとか当直業務終了。所属科の外来へと向かいます。
10:00 なにげに外来見学は眠い。。。。
13:30 ようやく食事タイム。48時間ぶりの飯はやっぱり天ぷら蕎麦。てか(゚Д゚)ウマー。
17:30 外来終了。今日はカンファレンスです。
19:00 カンファレンス終了。
20:00 ようやくすべての仕事終了。この3日間頑張った、俺。
20:25 約束通り、藤代先生、ケン先生と飲みに行く。
23:00 飲み会終了。うちに帰る。測ってみたら飲み会の後なのに体重が2kg減ってる。
・・・文系は勝ち組だとつくづく思う今日この頃です。
深夜の集中治療室。
この夜は患者さんたちの状態も落ち着いており、なかなかに静かな夜でした。
夜勤の看護師さんたちは中央のナースステーションで仕事をしています。
午前2時過ぎ、ある看護師さんは見回りに、ある看護師さんは点滴の交換にと、
すべての看護師さんたちが一瞬だけナースステーションからいなくなる瞬間があったようです。
看護師さんたちがまたナースステーションに帰ってきました。
A「あれ、Bさん一番奥の205号室に行った?」
B「え、行ってないですよ?」
C「どうかしたんですか?」
A「さっき205号室に誰か入っていくような足音を聞いたもんだから。」
D「あ、私も聞きました。誰か入って行きましたよね。」
A「誰でしょう?」
E「どうかしたんですか?」
B「あ、Eさん、205号室に行ってました?」
E「205号室って、誰が入ってましたっけ?」
A「えーっと、交通事故で入院されてるフクシマさん。あの人だけね。」
E「あ、フクシマさんの部屋ね。私は行ってませんけど、さっき誰か入って行きましたよ。」
B「こんな時間に・・・主治医の先生でしょうか?」
A「先生は夜11時ころに帰られましたよ。」
B「そうなんですか。じゃあ、誰だろう???」
C「私、見てきましょうか?」
A「ええ、お願い。」
そして、
C「205号室、フクシマさんがぐっすり寝てる以外、誰もいませんでしたよ。」
A「あら、そう。じゃああの足音は聞き間違いかしら。」
D「あたしも聞いたんですが。。。」
E「私は誰か入っていくのを見たんですが。。。」
・・・
朝、フクシマさんの家から連絡がありました。
療養中であったフクシマさんの父親が別の病院で亡くなられたそうです。
死亡時刻は午前2時15分。
01 | 2025/02 | 03 |
S | M | T | W | T | F | S |
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